写真1 学校長のコラム ジュエリーひとり旅

第3話 鳥のジュエリー

 久しぶりにロンドン・ポートベローのアンティーク市に行ってみた。写真は、そのとき露天商のケースの隅に追いやられていたブローチだ。シルバーを使ったビクトリア時代後期(1890年頃)のこのブローチは、スコティッシュ・ジュエリーと呼ばれ、スコットランドのケルト文化に根ざすデザインだ。

 本体は動物の足先が爪と一緒に剥製になったもので、日本語では「らいちょう」(英語名:GROUSE)と呼ばれている鳥のものだ。スコッチウイスキーに「FAMOUS GROUSE」というのがあるが、そのラベルにはまさにこの「らいちょう」が描かれている。さらに、使われているパールはスコットランドの川で当時採取された珍しい淡水真珠だ。このパールは大変貴重とされていて、英国王室のクラウン・ジュエルのみに使われていたといういわくつきだ。まさにこのブローチは、スコットランドそのものなのだ。
 
 「らいちょう」はイギリスでは狩猟の対象であり、この持ち主が自分で捕まえたらいちょうを記念としてこのブローチを作らせたのかもしれない。スコッチウイスキー(もちろんFAMOUS GROUSE)を飲みながら、狩りの話を仲間としているスコットランド紳士が目に浮かんできた。

校長 水野倫理

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